おひとり様必見!父母にも遺族厚生年金がもらえるって知ってた!?

目次

「遺族年金って、配偶者と子どもだけじゃないの?」

「遺族年金」と聞くと、多くの方が

「妻や夫、そして子どもがもらうもの」

というイメージを持っていますよね。

でも実は、それだけではありません。

厚生年金に加入して働いてきた“おひとり様”が、

もしも老齢年金を受け取る前に亡くなった場合、

「掛け捨てになってしまうのでは…?」

と感じる方も多いと思います。

確かに、誰にも何も給付されないケースもあります💦

まさに、“おひとり様税”のように感じてしまうケースもありますよね。

しかし実は、両親(父母)でも遺族厚生年金を受け取れるケースがあるのです!

今回の記事は令和7年時点の内容となっています。

あわせて読みたい
年金の恩恵にあずかれない!? 【老齢年金の受給権発生前に死亡し、遺族に兄弟しかいない場合】 58歳で死亡。死亡者の年金加入記録 厚生年金450月 国民年金30月納付 この場合、残された兄弟に...

遺族厚生年金とは?

まず整理しておきましょう。

遺族厚生年金とは、次のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに遺族に支給されます。

1️⃣ 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
2️⃣ 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
3️⃣  1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
4️⃣  老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
5️⃣  老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

⚠️1および2の要件については、保険料の納付要件を満たす必要があります。
⚠️4および5の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間などが25年以上必要です。

遺族年金の受給対象者

遺族年金を受け取る権利は次の順位になります。

父母・孫・祖父母は先順位者がいる場合、遺族年金を受け取れません。

日本年金機構HPより)

支給順位対象条件
第1順位配偶者・子・18歳最初の年度末までの子
・障害等級1・2級の20歳までの子
・夫は妻の死亡当時55歳以上
第2順位父母死亡当時55歳以上
第3順位・18歳最初の年度末までの孫
・障害等級1・2級の20歳までの孫
第4順位祖父母死亡当時55歳以上

⚠️・父母・祖父母は死亡当時55歳以上で、60歳から受け取れます。

つまり、死亡当時、亡くなった人から生計維持されていた配偶者や子がいない場合は「父母」が遺族厚生年金を受け取ることができます。

遺族年金の額

父母がもらえる条件とは?

制度的な説明だったので、父母が遺族厚生年金を受け取れる要件について整理します。

✅ 主な条件

  • 遺族厚生年金の支給要件を満たす
  • 子(18歳最初の年度末まで、障害等級1・2級の20歳未満の子)がいない
  • 夫が55歳未満もしくは夫がいない
  • 妻がいない
  • 父母が 子により生計維持されていた
  • 父母が 55歳以上であること(支給開始は60歳から)

「独身で実家暮らし」・「実家に仕送りしていた」などのケースでは、
父母が子に“生計維持されていた”と認められる可能性があります。

生計維持とは?

「生計を維持されている」とは、原則次の要件をいずれも満たす場合をいいます。

✔️生計を同じくしていること
 同居していること
 (別居していても、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められます。)
✔️収入要件を満たしていること。(前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。)

例えば👇

  • 同居していて、家計が一緒だった
  • 子が家賃・光熱費・食費などを負担していた
  • 親の収入が少なく、子の援助が主な生活費になっていた

このような状況なら、「生計維持あり」と判断されるケースがあります。

父母が2人とも請求する場合は?

父母がともに生計維持されていて、2人とも受給資格がある場合は、
遺族厚生年金の金額を2分の1ずつ分けて支給されます。

そして、父母のうち一方が亡くなった場合は、
残った方が全額を引き継いで受け取ることができます。

つまり、「半分ずつ → 最後は全額」という仕組みです。

具体的な支給開始年齢と金額の目安

  • 支給要件年齢:父母が子の死亡当時55歳以上(実際の支給開始は60歳から)
  • 支給額:亡くなった方の厚生年金報酬額に応じて計算されます。
     目安として、配偶者が受け取る場合と同様、報酬比例部分の4分の3年金が支給対象。

たとえば、長年勤めた会社員で月収40万円程度・勤続35年の場合、
遺族厚生年金は年間 約80〜100万円程度 になるケースもあります。

ただし、父母が65歳を過ぎており、老齢厚生年金を受け取っている場合は、老齢厚生年金よりも遺族厚生年金が上回った場合に差額が支給されます。

日本年金機構HPより)

⚠️ 注意点(もらえないケース)

次のような場合は、父母でも受け取れません。

  • 父母が生計を別にしていた(独立していた)
  • 父母が本人より先に亡くなっていた
  • 亡くなった人が国民年金のみ加入だった(厚生年金期間なし)
  • 厚生年金の加入期間はあるが、遺族厚生年金の支給要件を満たさない

遺族厚生年金の支給要件は日本年金機構HPを参照ください。

おわりに

意外と知られていない、父母が受け取れる遺族厚生年金

「自分には関係ない」

と思っていた方も、実は家族に残せる年金があるかもしれません。

もしものとき、どのくらいの金額になるのかは、お近くの年金事務所で相談してみるのもおすすめです。

あるいは、「ねんきんネット」でご自身の老齢厚生年金の見込み額を確認すれば、
老齢厚生年金4分の3程度が父母に遺族厚生年金として残せるという目安になります。

また、遺族厚生年金の金額が見えることで、民間の保険やライフプランの見直しの一助になれれば嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次