障害年金が支給停止に!主な5つの原因と対処法をやさしく解説

「年金が振り込まれていない」
——障害年金を頼りに生活している方やご家族にとって、こうした出来事は本当に大きな不安です。

ですが、ほとんどのケースは原因がはっきりしていて、適切な手続きを踏めば再開できる可能性があります。

この記事では、障害年金が支給停止になる代表的な5つの原因と、それぞれの対処法を、できるだけわかりやすく整理しました。

目次

まずやるべきこと:年金事務所で「支給停止の理由」を確認する

支給停止には複数の原因があり、原因によって対応はまったく違います。ですから、最初の一歩は 「自分のケースがどの理由に該当するのか」を確認すること です。

最寄りの年金事務所に 電話または訪問 の上、支給停止の理由を確認してください。

理由がわかれば、あとはその原因に応じた手続きを行うことができます。

障害年金が支給停止になる主な5つのケース

実務でよく見られる支給停止の原因は、おおむね次の5つです。

ケース原 因主な対処方法
1診断書の提出期限切れ速やかに診断書を提出
2住基ネットでの生存確認ができなかった住民票登録+現況届(海外在住者は別手続き)
3マイナンバー未紐付けで現況届を出していない現況届に生存確認書類を添付して提出
420歳前障害基礎年金で前年所得が基準超過・翌年の所得次第で再開
・他年金への選択替え
5診断書提出により下位等級となり要件外に「支給停止事由消滅届」+診断書で再認定請求

ここからは、それぞれを詳しく見ていきます。

ケース1: 診断書の提出期限までに出さなかった

なぜ起きる?

障害年金は、定期的に診断書を提出して障害の状態を確認する仕組み(更新制)になっています。

日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」が 誕生月の3か月前ごろ に送られてきます。これを 誕生月の末日までに提出しなかった場合、障害年金が一時停止されます。

「忙しくて出し忘れていた」
「気づかないうちに期限を過ぎていた」

——意外と多いケースです。

対処法

まずは 速やかに診断書を提出する ことです。手元に届いた診断書様式を、かかりつけ医に渡して作成を依頼してください。

診断書の 現症日 は、原則として 誕生月を含む直近3か月以内 の日付とされています。

<具体例>
6月生まれ
⇒ 4月・5月・6月のいずれかの日を現症日として記載してもらいます。

医療機関によっては診断書の作成に数週間かかることもあります。
届いたら早めに依頼するのがおすすめです。

提出後の支払いについて

診断書を提出して再認定が完了すれば、停止されていた期間の年金も さかのぼって支払われます(等級に該当する場合)。

障害等級に該当しない場合は、誕生日月の翌月から3ヶ月分まで支給され、その後、支給停止となります。

ただし、提出から認定がなされ、実際に振込までは数か月かかることも多いので、提出すればすぐ支払われるわけではないことにご注意ください。

ケース2: 住民票上の生存確認ができなかった

なぜ起きる?

障害年金の受給者は、一年に一度、誕生日月に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)経由で生存確認 が行われています。

ここで生存が確認できなかった場合、ご本人がご存命であっても支給が止まってしまいます。よくあるのは次のようなパターンです。

  • 住民票が 職権消除 されている(役所が一定期間以上の所在不明等を理由に住民登録を抹消した状態)
  • 引っ越し後の住所変更を届け出ていない
  • 海外転出により国内に住民票がない

対処法 (国内在住の場合)🏠️

まずは市区町村役場で 住民票を登録をしてください。その後、住民票を持参するか、マイナンバーを記入し年金事務所に 現況届 を提出します。これで生存確認が完了し、支給が再開されます。

対処法 (海外在住の場合)🌊

海外在住の方は住基ネットの対象外なので、年1回、現況届の提出が必要 です。日本年金機構から誕生月の3か月前に現況届が送付され、提出期限は誕生月の末日 が原則です。

現況届には、在留証明書や、お住まいの国の住民登録に相当する書類などを添付します。

参照:海外にお住まいの年金を受けている方が誕生月を迎えたとき(日本年金機構)

海外在住の方は受取口座にも注意

ここは特に見落としやすいポイントです。

海外在住の方は、ゆうちょ銀行では年金を受け取れません。海外転出する際は、ゆうちょ以外の国内銀行口座に変更しておくか、外国の金融機関を指定する必要があります。

整理するとこうなります。

居住地ゆうちょ銀行ゆうちょ以外の国内銀行外国の金融機関
国内
海外◯(変更届の提出が必要)

海外赴任や移住が決まったら、年金の受取口座も一緒に見直すのを忘れないようにしてください。

ケース3: マイナンバーが基礎年金番号に紐づいておらず、現況届を出していない

なぜ起きる?

通常、年金記録にマイナンバーが紐づいていれば、住基ネット経由で自動的に生存確認が行われ、現況届の提出は 不要 です。

しかし、次のようなケースではマイナンバーが紐づいていません。

  • 海外在住で日本に住民票がない方
  • マイナンバーと基礎年金番号が紐付いていない方

この場合、年に1回、誕生月に 現況届(ハガキ形式) が送られてきます。これを期限内に提出していないと、支給が停止されてしまいます。

対処法

届いた 現況届を速やかに提出 してください。

提出時には、次のいずれかの方法で生存確認ができるようにします。

  • マイナンバーを記入する(以後の生存確認に使えるようになる)
  • 住民票、戸籍謄本など、生存を確認できる書類を添付する

マイナンバーを記入した場合は、その情報をもとに 次回以降は自動で生存確認 が行われるようになり、翌年からは現況届の提出が不要になります(海外在住者を除く)。

何らかの事情でマイナンバーの記入が難しい場合でも、住民票等の添付で代替できますので、ご安心ください。

なお、海外在住の方は必ず毎年、現況届提出が必要なので、届いたら忘れずに対応しましょう。

ケース4: 20歳前障害基礎年金で前年所得が基準を超過した

20歳より前に初診日があり、年金未加入期間中に障害となった方が受給する 「20歳前傷病による障害基礎年金」(年金コード 2650・6350)には、他の障害年金にはない 所得制限 があります。

これは、保険料を納付していない方への給付という性質上、所得が一定額を超える場合は給付を制限するという仕組みです。

支給停止の基準額(令和8年度・2級の場合)

前年の所得額に応じて、支給額が次のように調整されます。

昭和31年4月2日以後生まれの方(2級)

前年の本人の所得額支給金額(年額)
3,761,000円以下(全額支給)847,300円
3,761,001円〜4,794,000円(2分の1停止)423,650円
4,794,000円超(全額停止)0円

昭和31年4月1日以前生まれの方(2級)

前年の本人の所得額支給金額(年額)
3,761,000円以下(全額支給)844,900円
3,761,001円〜4,794,000円(2分の1停止)422,450円
4,794,000円超(全額停止)0円

扶養親族がいる場合は、所得制限の基準額が控除により緩和されます。最新の基準額や扶養控除の取り扱いは、年金事務所または日本年金機構HPでご確認ください。

対象期間と振込タイミング(ここは混同しやすいので注意)

ここは少しややこしいので整理しておきます。

  • 支給制限の対象期間:10月分から翌年9月分まで の1年間
  • 実際に振込が止まるタイミング:10月分・11月分を支給する 12月15日の振込分 から

「12月分が止まるんだな」と誤解されがちですが、正しくは:

10月分から制限が始まり、その制限が反映された最初の振込が12月15日(=10月分・11月分の支給日)

ということです。

翌年以降の対処法

所得制限による支給停止は 1年単位で見直し されます。

翌年以降に所得が基準額以下になれば、その年の 10月分(=12月振込分)から自動的に再開 されます。

あらためての申請は不要です。

「今年は所得が高くて止まったけど、来年は下がりそう」という方は、所得が基準内になる場合は翌年から再開されると思って大丈夫です。

老齢年金や遺族年金が受けられる場合は「選択替え」も

20歳前の障害基礎年金を受給中の方が、65歳以降に老齢年金の受給権を得たり、配偶者の死亡などで遺族年金の受給権を得たりすることがあります。

このような場合、所得制限により障害基礎年金が停止されている期間、他の年金を受給できるのであれば、「年金の選択(選択替え)」の手続き によって、そちらの年金を受け取ることができます。

どの年金を選ぶのが有利かは、ご本人の状況によって変わります。年金事務所で試算してもらうのが確実です。

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ケース5: 診断書提出により下位等級となり、支給要件の対象外になった

なぜ起きる?

更新時に提出した診断書をもとに再認定が行われた結果、障害の状態が以前より軽くなったと判断されると、等級が下がります。

  • 障害基礎年金1級・2級のみ が対象
    → これより軽い状態と認定されると 支給停止
  • 障害厚生年金1〜3級 が対象
    → 3級よりさらに軽い状態と認定されると 支給停止(障害手当金は別制度)

対処法:「老齢・障害給付 受給権者支給停止事由消滅届」+診断書で再認定請求

症状が再び悪化した、あるいは以前と同じ状態に戻ったという場合は、

  1. 「老齢・障害給付 受給権者支給停止事由消滅届」(様式第207号)
  2. 診断書

をセットで年金事務所に提出することで、再認定を受けられます。等級に該当すると判定されれば、支給が再開されます。

診断書の現症日は「改定日以降」で

ここが重要なポイントです。

再認定請求のために提出する診断書は、前回の改定日以降の日付の現症日 で作成してもらう必要があります。

「どの部分が下位等級の判断につながったか」を年金事務所で確認

もう一つの実務的なコツとして、

前回の診断書のどの部分が下位等級認定の決め手になったのか を年金事務所で確認する

ことをおすすめします。

これを確認できれば、次回の診断書で重点的に記載してもらうべき項目(日常生活動作、就労状況、症状の頻度や程度など)が見えてきます。医師への依頼の仕方が変わり、認定結果にも影響する可能性があります。

個別性が高い領域なので、事前に年金事務所で個別相談 を受けるのが安心です。必要に応じて、障害年金に強い社会保険労務士に相談する選択肢もあります。

まとめ: 迷ったら一人で抱え込まず、年金事務所へ確認を

障害年金の支給停止は、ご本人やご家族にとって生活に直結する大きな問題です。でも、原因さえはっきりすれば、ほとんどのケースで道は開けます。

この記事で見てきた 支給停止の主な5つの原因 をもう一度まとめます。

  1. 診断書の提出期限切れ
    → 速やかに診断書を提出
  2. 生存確認ができなかった
    → 住民票を整え、現況届を提出(海外在住者は別手続き)
  3. マイナンバー未紐付け+現況届未提出
    → 現況届にマイナンバーまたは生存確認書類を添えて提出
  4. 20歳前障害基礎年金の所得超過
    → 翌年の所得次第で再開、または他年金への選択替え
  5. 下位等級となり支給対象外
    → 「老齢・障害給付 受給権者支給停止事由消滅届」+診断書で再認定請求

最後にお伝えしたいことは、シンプルに2つだけです。

  • まず 年金事務所に支給停止の理由を確認 すること
  • 必要書類を準備して、できるだけ早く提出 すること

年金事務所の窓口は混雑することもあるので、事前に 電話予約 をしてから訪問するとスムーズです。

「自分だけで抱え込まない」——これが何より大事です。

少しでもこの記事が、不安を抱える方の助けになれば幸いです。

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