老後の現実💔年金分割しても暮らせない夫婦の現実

目次

はじめに

年金相談の現場で20年以上勤務してきた私が、最近如実に感じること。

「年金があれば大丈夫」

「年金分割をすれば、老後は安心」──

そう思っている方も多いかもしれません。

けれど実際には、年金を分けても暮らしていけない人が増えている。

離婚しても、しなくても、生活は厳しく、心も疲弊していく。

だから、70歳を過ぎても体が動く限り、「生活のために働く」。

今回の記事では、76歳のご夫婦のケースをもとに、

年金分割後の生活実態と、公的制度を使って“現実的に生きる方法”、

そして若い世代が「今から何を備えるべきか」について整理していきます。

夫婦で月25万円。それでもギリギリの生活

厚生労働省の調査によると、

夫婦2人で「標準的な老後の生活費」は月25万円前後

このご夫婦も、

  • 夫:年金150万円/年(約12.5万円/月)
  • 妻:年金70万円/年(約5.8万円/月)

合わせて月18万円ほどの年金収入です。

食費・光熱費・医療・税金を払うと、

毎月約2万円の赤字。

子どもからの支援も少しありますが、日々節約し、貯金を少しずつ崩す生活が続いています。

離婚したい。でも現実には厳しい老夫婦

長年、夫婦仲は冷えきっており、

「本当は離婚したい」と話し合うことも増えていました。

しかし現実は厳しい。

年金分割をしても、妻の年金は年間100万円ほどにしかならず、

月8万円台の生活費で暮らすことになります。

単身高齢者の平均生活費は、月13〜15万円。

つまり、分割後の年金だけでは生活が成り立たないのです。

子どもたちも家庭を持ち、親への多額の仕送りは難しい。

結果として、

「離婚したくてもできない」

という現実に直面します。

年金分割をしても“安心”ではない理由

年金分割制度は、配偶者の厚生年金の一部を分ける制度です。

離婚分割して増える年金は年間 数万〜30万円くらい。

老後の生活費を大きく変えるほどではなく、分割により余裕に生活できる年金額ではありません。

加えて、離婚し別居すると

  • 家の維持費(修繕・固定資産税)
  • 医療・介護費
  • 食費

などの支出が増え、夫婦一緒にいる時よりも、支出が拡大します。

「年金を分割してもらっても、生活できない」

これが、多くの熟年夫婦が直面する現実です。

持ち家があっても安心ではない

このご夫婦の家は、

  • 土地: 約100坪(坪単価約60万円=資産評価4,800万円)
  • 建物:築40年のコンクリート造、修繕が追いつかない状態

表面上は「資産家」でも、

実際は現金収入が乏しく、資産を生活費に変えられない状況です。

それでも「持ち家があるから生活保護は対象外」とされる場合が多く、
支援を受けづらいという現実があります。

それでも支えてくれる公的制度がある

リバースモーゲージのような金融商品ではなく、
公的な制度で支えられる方法を紹介します👇

✅ 地域包括支援センター

高齢者の介護・生活・金銭・福祉全般をワンストップで相談できる窓口。

  • 家事・買い物支援
  • 配食・見守りサービス
  • 金銭管理のサポート
  • 介護保険申請の手続き代行

📞 各区の「地域包括支援センター」へまず相談を。

✅ 高齢者世帯の生活支援・生活保護制度

「持ち家=NG」ではありません。

現金化が困難な住宅であれば生活保護が認められることもあります。

  • 不足分を補う生活扶助
  • 医療費免除(医療扶助)
  • 冬季加算・光熱費補助

制度の申請はお住まいの福祉課などで行えます。

「申請すること=恥ずかしいこと」ではありません。

制度は、“生きる権利”を守るための仕組みです。

✅ 住宅・税金・公共料金の支援

  • 固定資産税の減免制度(老朽住宅・低所得世帯)
  • 水道局の減免制度(非課税世帯対象)
  • 電気・ガスの社会的配慮プラン

暮らしの支出を見直すだけでも、
年間3〜5万円の負担軽減につながる場合があります。

誰かに相談する勇気が、大切な第一歩だと思います。

一緒にいなくても「支え合う」老後の形

夫婦の形はひとつではありません。

「愛情で一緒にいる」だけでなく、
「生活を支え合うために協力して生きる」ことも立派な選択です。

“離れずに距離をとる”
そんな柔軟な生き方も、これからの時代の老後の形の一つかもしれません。

🌱若い世代へのメッセージ🌱

──「年金だけに頼らない生き方を」

今回のご夫婦のようなケースは、決して他人事ではありません。

いま働く世代が将来同じ思いをしないためには、

「年金+αの収入源」

を持つことが鍵になります。

副業や投資、スキル収入などで、

少しずつでも“働かなくても入るお金”を作っておくこと。

今の努力が、20年後の安心を作ります。

家計・副業・投資を考えるきっかけとして、

今日から小さく一歩を踏み出してみましょう。

おわりに

老後の生活は、誰にとっても避けられないテーマです。

けれど、制度を知り、備えを始めることで、

「不安」から「準備」へと変えていくことができます。

意外と知られていない公的支援、

そして自分で作る未来の収入。

今回の記事が、

「年金の先にある人生」を考えるきっかけになれば嬉しいです。

年金制度を知ることは、
「損をしないための第一歩」
「ライフプランを作るための必要な土台」。

🌿コラム:若い世代へ──親を支える現実と、未来を作る準備

両親には、できることなら仲良く、元気で、穏やかに暮らしてほしい

多くの子どもたちが、心の底からそう願っていると思います。

けれど、もし両親の関係がこじれ、

お互いに心をすり減らしながら過ごしているのなら──

別々の時間を大切に過ごすことも、一つの幸せの形だと思います。

長い人生の中で、楽しいことも、苦しいことも、たくさんあったはず。

だからこそ、残りの時間くらいは、少しでも穏やかに生きてほしい。

子どもとして、そう願わずにはいられません。

でも、ここで現実的な問いを投げかけてみます。

自分の老後資金、子どもの教育費、住宅ローン、日々の生活費。

ときには旅行にも行きたいし、趣味も大切にしたい。

そう考えると、

「毎月3万円でも送るのは正直きついかもしれない」

と思う方が多いのではないでしょうか。

少なくとも、私はそうです😅💦

ここで改めてお伝えしたいのは、

「年金は生活の柱のひとつ」

であることに間違いはありません。

でも現実として、年金だけで生活を維持するのは厳しい時代が来ています。

それは、まさに今の親世代が実際に直面している現実

私は20年以上、年金相談に携わってきました。

その中で感じるのは、

「制度を知るだけでは、老後の安心は守れない」

だからこそ、私たちは考えたいのです。

年金“以外”にも、将来に残せる収入の柱をどう作るか。

副業・投資・スキルアップ・発信活動。

どんな形でもかまいません。

小さくても、継続して“自分で生み出せる収入”を持つことが、

自分自身と家族を支える力になります。

お金がなければ、自分の老後人生が時として苦しくなります。歳を重ねても、いつも元気で楽しく生きていくために、
今できることを少しずつやっていきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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