「離婚したら年金ってどうなるの?」
なんとなく聞いたことはあるけれど、詳しくは知らない💦
そんなまま、モヤモヤしていませんか?
特に40代・50代の方にとって、
離婚後の生活設計と
老後資金の見通しは現実的なテーマです。
今回は、年金相談の現場でよく聞かれる質問をまとめて、
離婚分割に関する基本から裏ワザ的ポイントまで
を、Q&A形式で整理しました✨️
「手続きは一人でできる?」
「もらえる金額の目安は?」
「こっそりできる?」
――そんな疑問にお答えします☺️
年金分割Q&A|3号分割・合意分割・手続き・注意点を解説
Q. 離婚分割ってなに?
年金の「離婚分割」とは、離婚しても老後の生活を支えるために、婚姻期間中にお互いの厚生年金や共済年金の標準報酬を(毎月の給与やボーナス)分け合うことができる制度です。
離婚分割を行うことで、
「老後に受取る年金額を増やす」
ことができる、とても大切な制度です。
年金分割には2つの種類があります。
- 3号分割:平成20年4月以降の
国民年金第3号被保険者期間が対象。
強制的に相手から50%もらえる。 - 合意分割:3号分割の対象期間以外の
婚姻期間中の厚生年金全体が対象。
双方の同意が必要。
当事者で按分割合を決められる。
(上限50%)
比較項目 | 3号分割 | 合意分割 |
---|---|---|
対象期間 | 平成20年4月以降の第3号被保険者期間 | 婚姻期間中の厚生年金・共済年金の期間 |
合意の有無 | 不要(強制50%) | 必要(協議・裁判など) |
割合 | 一律50% | 上限50% 合意により決定 |

Q. 婚姻期間外(事実婚)でも年金分割できる?
▶ 国民年金の3号被保険者となっている期間は可能です☺️
ただし、3号分割の対象となるには以下の条件を満たす必要があります。
- 双方が重婚関係にないこと
(双方の戸籍謄本にて確認) - 生計同一関係の確認
(住民票が同一住所か、などを確認)

国民年金の3号被保険者に認定されているから確認必要ないのでは?
と、なりそうですが、離婚分割の手続きの際には必要となります。
事実婚をどのように証明するか迷ったときは、年金事務所にご相談ください。
Q. 夫婦別居中・生計維持なしでも分割できる?
▶ できます☺️
年金分割の対象期間はあくまで婚姻していることです。
別居し、互いに生計維持関係がなくても分割の請求は可能です。
Q. 合意分割の割合はどうやって決める?
▶ 双方の合意または裁判所による調停・審判により決定します。
・裁判所で決めてもらう
審判(判決)または調停(和解)
・公正証書や公証人の認証を受けた私署証書
を作成する
・年金事務所で両者が合意書を作成する



双方で合意できない場合は、裁判所での解決になってくるかと思います。
二人でうまく合意できない場合は、弁護士さんに相談するのも良いかと思います。
Q. 年金分割後にいくらもらえる?
見込み額は?
▶ 分割による年金額は、加入条件などによって変動するため、年金事務所窓口での試算はできません。
「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出することで、見込額の確認が可能となります。ただし、50歳以上の方限定です。
50歳未満の方は離婚分割後に年金ネットで試算するか、その後に届くねんきん定期便で確認します。



分割した場合の見込額は、譲り受けた期間によって計算方法が異なるため、簡単には計算できません。
また、窓口で分割後の見込額を試算することはできません。
Q. 分割前後の年金額を比較できますか?
▶ 比較できます(50歳以上の方限定)。
50歳以上の方は、分割前と分割後の年金額を情報提供通知書と一緒に送付される年金見込額で確認できます。
また、割合(下限、30%、40%、50%など)を変えてシミュレーション可能です☺️
Q. 分割された年金はいつから反映される?
▶ 老齢厚生年金の受給開始年齢(通常は65歳)に達したときに反映されます。
※すでに老齢年金を受取っている方は、分割手続の翌月分から金額が変わります。
Q. こっそり見たい・知りたい👀
…元配偶者に知られずに情報提供通知書はもらえる?
▶ 婚姻中であれば本人だけで受け取れます✨️
情報提供通知書は、一般的に、基礎年金番号に登録されている住所(通常住民票住所)へ郵送されます。
ただし、希望があれば
🆗 年金事務所の窓口受取
🆗 住民票住所以外への別送
が可能です。
ただし、離婚後は元配偶者にも情報提供通知書が送付されるため注意が必要です。
Q. 離婚分割でもらえるのは“お金”?
▶具体的な金額が定まったお金ではありません。
実際に受け取るのは厚生年金の「報酬比例部分の計算に使われる標準報酬額」。
老齢厚生年金の報酬比例部分の計算のもととなる標準報酬の金額をもらいます。
ざっくり言えば、「給与やボーナス」と考えてもらってOKです。



国民年金のみの加入の方であれば、金額がほぼ固定されます。
しかし、ご自身が厚生年金に加入している場合、あるいは将来加入する場合は、自身が加入した時の厚生年金の平均標準報酬額により、将来の年金額は変わってきます。
見込額を確認していても、それは一時点の金額にすぎず、将来その金額を必ずもらえるということではありません。
Q. 年金分割の手続きは1人でもできる?
▶ 条件により可能です。
- 裁判所の審判(判決)・調停(和解)がある場合
→ 1人でOK - 公正証書・私署証書がある場合
→1人でOK - 合意書を年金事務所で作成する場合
→ 双方来所または代理人対応



公正証書や私署証書を作成する場合
・基礎年金番号
・氏名・生年月日
・按分割合
・按分割合での離婚分割することへの承諾
の内容を必ず入れましょう‼️
離婚分割の手続きについては、下記ページを参照ください。


Q. もらう側のデメリットは?
▶ 一部の年金加算が受けられない可能性があります。
もらった月数と自身の厚生年金・共済年金の期間の合計が20年以上になる場合、次のデメリットがあります。
- 振替加算がつかない、減額される
- 再婚相手に配偶者の加給年金が加算されない



振替加算が加算される昭和41年4月1日以前の生まれの方は、事前に見込額を確認することをおすすめします。
離婚分割によりもらう金額と振替加算額の減額が、同じくらいの場合もあります。
加給年金・振替加算については日本年金機構HPを参照ください。


Q. 外国人との婚姻でも離婚分割できる?
▶ 日本人×外国籍、外国籍×外国籍
どなたでも、離婚分割可能です。
ただし、日本のように制度として戸籍がない場合は、戸籍に代わるものの提出が必要となります。
(例:外国の婚姻証明書・家族証明書+翻訳)
他にも生存確認のため、海外在住の居住証明書(請求手続き前1ヶ月以内に発行されたもの)等が必要となる場合があります。
必要な書類について、年金事務所に確認ください。
Q. 時効(2年)に間に合いそうにない場合は?
▶ 離婚分割は、離婚後2年以内に年金事務所で手続きを行う必要があります。
しかし、離婚後2年以内に合意できない場合は、離婚後2年以内に離婚分割の協議について裁判所に申立てれば離婚分割が可能です。
手続きの際には、離婚後2年位内に裁判所に申立てたことがわかる証明書が必要となります。
裁判所での審判等が確定した後、6ヶ月以内に年金事務所で分割手続きが必要となります。



令和7年6月の改正法案可決により、今後、離婚分割の手続期限が5年に延長となります。
改正時期についても、今後注意が必要です。


Q. 3号分割と合意分割は別々に申請が必要?
▶ いいえ。
1回の手続きで両方同時に可能なため、2回申請する必要はありません。



合意分割の請求が行われた場合、婚姻期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、3号分割と合意分割がセットで行われます。
Q. 情報提供通知書の見方がわかりません…
▶ 通知書には以下が記載されています。
- 合意分割の下限と上限(50%)
- 離婚分割の対象となる期間
(離婚していない場合は、情報提供請求書を提出した日まで) - 3号分割が仮に行われた後の標準報酬の総額





情報提供通知書では、具体的な年金額などはのっていません。
あくまで分割するために必要な情報のみです。
按分割合の範囲が狭いほど、合意分割したときに分け合う金額が少ないことになります。
Q. 同じ相手と再婚・再離婚を繰り返した場合は?
▶ 婚姻期間ごとに分割請求が必要です。
請求期限の2年は、「それぞれの離婚日」を起算日とします。
時効前に手続きを行ってください💦
事実婚がある場合は、
⚠️事実婚から法律婚になった場合
→事実婚と法律婚の期間をすべてを請求
⚠️法律婚から事実婚になり事実婚が解消した場合
→法律婚と後ろの事実婚は別々に請求する
となります。
個別具体的なケースがあるかと思いますので、年金事務所に相談することをおすすめします☺️
おわりに:年金分割は「知っているかどうか」で将来が変わります
離婚後の年金分割は、老後の生活設計にとってとても大切な制度ですが、まだまだ「詳しくは知らない」という方が多いのが現状です。
今回のQ&Aで、少しでも不安や疑問がクリアになったら嬉しいです☺️
年金分割の手続きは複雑に感じるかもしれませんが、
情報をしっかり整理しておくことで、
損せず・焦らず・準備ができます。
✔ 請求期限(離婚後2年)を過ぎないように!
✔ 見込み額は情報提供通知書で確認!
✔ わからないこと、個別的な内容は
年金事務所や専門家に相談!
離婚という人生の転機を経ても、安心して老後を迎えるために、制度を上手に活用していきましょう✨
この記事が、あなたのこれからの選択に少しでもお役に立てば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



