繰下げした場合の注意点について
1)在職老齢年金制度について支給停止された分については増額されない
増額の対象となるもの
- 老齢基礎年金
- 付加年金
- 老齢厚生年金の差額加算
- 老齢厚生年金の報酬比例
2)加給年金や振替加算は増額されない
例えば、65歳から72歳まで加給年金が受け取れる老齢厚生年金受給権者が、70歳から老齢厚生年金を受取る場合、加給年金額は増額されない額で70歳から加算される。
このため、65歳から70歳までの5年分の加給年金(約39万×5年=195万円)の損失となります。待機期間中は、振替加算のみあるいは加給年金のみを受け取ることはできません。
3)繰下げは、死亡後はできない(繰下げみなしもできない)
老齢基礎年金と老齢厚生年金を繰下げしていたところ、72歳で死亡した場合
遺族は72歳の前5年分については、受け取れるが2年分は受け取ることができないことになります。
4)他の年金の受給権がある場合は、他の年金の受給権発生日までしか繰下げできない
例えば、老齢厚生年金と老齢基礎年金を繰下げしようとしても、配偶者が死亡したなどにより遺族厚生年金の年金の受給権が発生した場合、死亡日以降老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰り下げができなくなります。
3級の障害厚生年金の受給権が発生した場合も、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の繰下げはできなくなります。
5)他の年金の受給権があっても繰下げができる場合がある
寡婦年金を受け取っている人は、老齢基礎年金及び老齢厚生年金の繰下げは可能。
障害基礎年金を受け取っている人は、老齢厚生年金のみ繰下げは可能。
6)特別支給の老齢厚生年金は繰下げできない
繰下げができるのは、65歳以降の老齢年金。
そのため、老齢厚生年金と老齢基礎年金が繰下げ対象となります。
7)H27年10月1日以降に発生する厚生年金(共済含む)は、同時に繰下げ
日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金(退職共済年金)を受け取ることができる場合は、すべての老齢厚生年金について、同時に繰下げ受給の請求をしなくてはいけません。
一元化以降、共済年金のみをもらって、厚生年金を繰下げすることはできなくなりました。
繰下げしていて、年金を増やしているつもりでも、実は繰下げができなかったなどにより、時効でもらえない期間が生じないように気をつけないとですね。
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