「昔、会社で“厚生年金基金”に入ってたけど、あれって今もあるの?」
「代行返上とか基金の解散って聞いたけど、自分の年金はどうなるの?」
そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。
厚生年金基金は、かつて多くの企業や業界で導入されていた制度ですが、現在は多くが代行返上・解散されています😢
この記事では、「厚生年金基金とは何か?」から「代行返上とはどういうことか?」、「厚生年金基金はどうやって受取るのか」までをやさしく解説します☺️
厚生年金基金とは?
厚生年金基金は、かつて企業や業界が設立していた「公的年金に上乗せする企業年金制度」の一つです。
イメージはこんな感じです。
(日本年金機構HPより↑↑)
厚生年金基金が減っている?
かつて多くの企業が導入していた厚生年金基金制度は、2000年代以降急速に減少しています。
その背景には、いくつかの大きな要因があります。
減少の背景
✅️長引く低金利と運用難
厚生年金基金は、将来の年金支給のために資産を運用する必要がありますが、バブル崩壊後の長期的な低金利環境により、想定利回り(予定利率)を確保できなくなりました。
✅️企業の財政負担の増加
運用がうまくいかないと、不足分は企業が補てんする義務があります。そのため、基金を維持することが企業の財務にとって重荷になっていきました。
✅️不祥事の発覚と制度への不信感
一部の基金で不透明な資産運用や不正(例:AIJ事件)が起きたことで、厚生年金基金制度全体への信頼が揺らぎました。
✅️制度の複雑さと時代の変化
厚生年金基金は制度が複雑で、従業員にも分かりづらく、時代のニーズに合わなくなってきたことも制度見直しの後押しとなりました。
制度の見直し
2014年に厚年基金制度の抜本的見直しが行われ、
👉 新たな厚生年金基金の設立は禁止
👉 既存の基金も「代行返上」または「解散」する方向
となりました。それにより、厚生年金基金の数は年々減少し、
👉 現在ではほとんどの基金が解散・消滅しています。
一部、加算部分のみを残して運営されている基金もありますが、制度としては終息期を迎えているのが現状です。
厚生年金基金は、当初「国の年金+企業の上乗せ」で手厚い老後保障を目指した制度でしたが、経済環境や制度設計の限界により、現在は制度としての役割を終えつつあります😢
今後は、確定拠出年金(企業型DCやiDeCo)などに移行し、個人が主体的に備える時代へと移っています。
代行返上された厚生年金基金はどうなる?
厚生年金基金の「代行返上」とは、基金が担っていた公的年金(厚生年金の一部)の支給責任を国に返すことを意味します。
これは、2014年の法改正をきっかけに制度の抜本的見直しが行われ、多くの基金がこの「代行返上」を選択しました。
では、代行返上された後、年金はどうなるのでしょうか?
✅ 代行部分は日本年金機構が支給
厚生年金基金が代行していたのは、「報酬比例部分」と呼ばれる公的年金の一部です。
代行返上後は、その責任が日本年金機構に戻るため、将来は通常の厚生年金(老齢厚生年金)として支給されます。
つまり、「基金がなくなったからといって、年金がもらえなくなるわけではない」ので安心してください☺️
✅ 加算部分の扱いは基金によって異なる
基金によって独自に支給していた「上乗せ年金(加算部分)」については、以下のように扱いが分かれます。
状況 | 加算部分の処理 |
---|---|
基金が存続 | 加算部分の支給は継続 |
基金が解散 | 一時金として清算/他制度へ移行/企業年金連合会に移管 など |
代行返上と同時に基金が解散した場合、加算部分は「一時金での支払い」や「企業年金連合会への移管」などが行われるケースがあります。
✅ 加入者(あなた)の年金はどうなる?
- 公的年金(代行部分):
➡ 今後は厚生年金として日本年金機構から支給 - 加算年金(上乗せ部分):
➡ 基金が存続していれば基金から支給
➡ 解散した場合は、企業年金連合会や一時金で受け取る可能性あり
✅ よくある誤解

厚生年金基金がなくなったら、年金はもらえるの?



代行部分は国の制度に戻されるため、きちんと年金額に反映されます。
あくまで「誰が払うか」が変わるだけで、
「もらえない」ということではありません
🔚 まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
代行返上とは | 国の厚生年金を企業が返上し、国が支給に戻すこと |
公的年金部分 | 日本年金機構が支給(厚生年金として) |
加算年金部分 | 基金が継続 → 基金から支給 解散 → 清算 or 移管 |
あなたの年金 | 基本的に将来の年金額にしっかり反映される |


企業年金連合会が支払う“厚生年金基金”とは?
企業年金連合会(PFA)は、厚生年金基金や確定給付企業年金(DB)から脱退した人の年金記録を引き継ぎ、年金を支給する公的機関です。
特に、厚生年金基金に加入していた期間が短かった(加入期間が10年未満の場合など)人の年金が、企業年金連合会に引き継がれているケースが多くあります✨️
✅ なぜ企業年金連合会が関わるの?
厚生年金基金には通常、「加算部分(企業が独自に上乗せしていた年金)」があります。
しかし、以下のような場合、その年金は存続している厚生年金基金からは直接支払われません。
✔基金に10年未満しか加入していなかった
✔基金が解散・代行返上した
✔受給資格がないまま退職していた
こうした「年金の受け取り手がいなくなった人の記録」を企業年金連合会が引き継ぎ、65歳から年金として支給します。
📦 企業年金連合会が支払うのはどんな年金?
種類 | 内容 |
---|---|
厚生年金基金の加算部分 | 基金での短期加入や脱退者の分を企業年金連合会が支給 |
確定給付企業年金(DB)の短期加入分 | 加入期間が短く企業年金としては受け取れなかった部分 |
➡ 国の厚生年金(日本年金機構が支払う)とは別に、企業年金連合会から独立して支払われます。
📬 受け取るにはどうすればいい?
✅️原則、65歳になる少し前に、「年金請求書」が自宅に届きます。
ただし、以下の場合は通知が届かないこともあります。
- 引越しして登録住所が古いまま😲
- 結婚・離婚などで姓が変わった📝
- 加入していたこと自体を忘れている💦
➡ 心当たりがある人は、自分で記録照会を行いましょう。
🔍 記録照会の方法
- 企業年金連合会の公式サイト にアクセス
- 氏名・生年月日・基礎年金番号などを入力し申請
- オンライン・郵送どちらでも申請可能(本人確認書類が必要)
💰 もらえる年金額は?
年金額は多くの場合少額(月数百円〜数千円)ですが、長期間加入していた複数の基金の記録が統合されていると、年間数万円以上になるケースもあります。
✅ よくある質問(Q&A)
Q:企業年金連合会の年金は厚生年金に含まれますか?
→ いいえ、別枠です。
日本年金機構から支給される厚生年金とは別に、連合会から直接支給されます。
Q:企業年金連合会の年金をもらうには手続きが必要?
→ はい。自動では支給されないため、請求書の提出が必要です。
🔚 まとめ
企業年金連合会は「払い手を失った企業年金の受け皿」です。
厚生年金基金や確定給付企業年金に一時でも加入していた方は、自分に記録が残っていないか、ぜひ一度確認しておくことをおすすめします☺️
おわりに
厚生年金基金はすでに制度として終わりつつありますが、過去に加入していた方の年金記録や受給権が失われることはありません。
代行返上された場合でも、国(日本年金機構)や企業年金連合会がしっかりとその記録を引き継いでいます。
ただし、制度が複雑なうえに、ねんきん定期便やねんきんネットには表示されない情報も多く、見落とされやすいのが実情です。
過去に厚生年金基金に加入していた記憶のある方、あるいは心当たりのある会社に在籍していた方は、企業年金連合会への記録照会を一度行っておくことを強くおすすめします。
「もらえるはずの年金をもらい忘れた」という事態にならないよう、ご自身の年金の足元をいま一度、確認するのも良いかと思います☺️
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

