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厚生年金加入中の死亡でも、遺族年金がもらえない場合がある
次の1から5のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
上記要件には次の注意点があります。
- 1および2の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。(3分の2要件) ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。(直近1年要件)
- 4および5の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限ります。(25年以上の要件)
トトさん
厚生年金加入中に亡くなっても、65歳以上で死亡した場合は、「保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上」なければ、遺族厚生年金を受け取れないことになります。
具体例をみていきましょう
昭和30年5月5日生まれ 男性。令和5年10月、厚生年金加入中に死亡。障害厚生年金の受給なし。老齢基礎年金と老齢厚生年金は受給中。
亡くなった方の年金加入記録
H25年10月1日〜令和5年10月の死亡までの10年間、厚生年金加入。
他に、国民年金免除14年あり。
合算対象期間なし。
厚生年金加入中に亡くなられていますが、死亡当時65歳を過ぎていますので、直近1年要件が使えません。
この方の場合、合算対象期間がありませんので、20歳以降65歳までの45年の3分の2以上が必要となりますが、45年の3分の2は30年ですので、これも該当しません。
そもそも、遺族年金は保険料納付済期間等が25年以上あれば受け取れることになりますが、死亡日の前日の属する月までの保険料納付済期間等が24年のみのため、該当しません。
この事例の方の場合は、遺族年金は受け取ることができません。
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