
補聴器をつけているあなたへ
小さかったあなたが、生まれて3日目。
あなたを出産した病院の先生に
「耳が聞こえにくいかもしれません」
と言われたとき、パパとママはとても驚きました。
「なんで?」「どうして?」
と、たくさん考えて、泣いて、心がぐちゃぐちゃになったことを、今でもよく覚えています。
「ちゃんと産んであげられなくてごめんね」
なんて思ってしまったこともあります。
でもそれは、
ただあなたが大切すぎて、少しでも困ることがあったら守ってあげたい
と思う気持ちが強すぎたから。
あなたに出会えて、パパもママも、心から幸せなんです。
あなたは、生後6ヶ月から補聴器をつけて、
たくさんの音を聞いて、
たくさんの人と話して、
たくさん笑ってくれました。
あなたは、自分の補聴器はチャームポイントだって言って、
絵にまで大きく描いてくれていたこと、
パパは今でも嬉しくて、思い出すたびににっこりしてしまいます。
でも、最近は「なんで補聴器してるの?」って言われると、ちょっとイヤな気持ちになることがあるって聞きました。
それは、とても当たり前の気持ちです。
どんなに強く見える人でも、心のなかにそっとしまっている不安や、気にしていることがあります。
見た目にはわからないこと、言葉にしないだけで感じていること、誰にでもあるんだよ。
メガネをしている人が、よく見えるようにしているように、
あなたは音をちゃんと聞けるように補聴器をつけている。
それだけのこと。
補聴器をしているからといって、あなたが人と違うわけじゃない。
ましてや、誰かより劣っているなんて、絶対にない。
あなたの心のなかに、もやもやした気持ちや、
「なんで自分だけ…」という思いがあるときには、
無理に笑わなくていい。
我慢しなくていい。
パパやママは、どんなときもあなたの味方です。
人は、見えるところだけではなく、見えないところにこそ、
その人のやさしさや強さ、美しさがあると思うのです。
補聴器をつけているあなたは、パパたちにとって、世界で一番すてきな娘です。
そして、きっとあなたの友だちも、あなたのことが大好きです。
あなたが笑うと、まわりも明るくなる。
あなたががんばると、まわりも勇気が出る。
補聴器は、あなたを助けてくれる道具のひとつだけど、
あなた自身の価値は、補聴器があってもなくても、何も変わりません。
これから中学生、高校生、大人になっていく中で、いろんなことがあると思います。
でも、何があっても、あなたはあなた。
まっすぐで、やさしくて、ちょっとシャイで、おもしろいことが好きで、
自分の世界を大切にする、あなただけの輝きがあります。
そのことを、どうか忘れないでください。
パパもママも、あなたを心から誇りに思っています。
パパもママにとって、あなたは世界で一番の「たからもの」です。