日本での留学や就労を終えて帰国する外国籍の方にとって、気になるのが「これまで払ってきた年金保険料ってどうなるの?」という疑問ではないでしょうか。
実は、日本の年金制度には「脱退一時金」という仕組みがあり、日本を離れた後でも一定の条件を満たせば、支払った保険料の一部を取り戻すことができます。
この制度は、外国籍の方が対象になり得ます。
一方で、申請できる期間には「2年以内」という制限があり、過ぎてしまうと受け取ることができません💦
この記事では、2025年4月現在の最新情報に基づいて、
- 脱退一時金の制度の概要
- 国民年金・厚生年金の違いと計算方法
- 支給額の目安
- 今後の改正
などを解説していきます。

せっかく払ったお金をムダにしたくない。
でも、帰国後に請求できるか不安…
そんなあなたのために、ぜひ最後までお読みください。



計算式・計算のもととなる金額は、令和7年度4月時点の金額となっています。
脱退一時金とは?
「脱退一時金」とは、日本の年金制度に一定期間加入していた外国籍の方が、日本を離れて住まなくなった際(住民票をもたなくなった際)に、申請することで保険料の払い戻しを受けられる制度です。
たとえば、留学生や技能実習生、エンジニアなどで日本に滞在していた方が、自国に帰国した後に申請するケースが多く見られます。
国民年金と厚生年金は別々の請求となりますので、それぞれみていきたいと思います。
国民年金の脱退一時金制度
国民年金の脱退一時金の請求ができる方は、次のすべてに該当する方です。
支給要件
- 日本国籍を持っていない🇯🇵
- 現在、日本に住んでいない🏡
- 日本の公的年金制度に加入していない
- 年金の受給資格(10年以上の加入期間)がない💰️
- 障害年金などを受けたことがない🩹
- 日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求する
- 保険料納付済期間等の月数の合計(※)が6月以上ある
(国民年金に加入していても、保険料が未納となっている期間は要件に該当しません💦)
※保険料納付済期間等の月数の合計とは?
請求日の前日において、請求日の属する月の前月までの第1号被保険者(任意加入被保険者も含みます)としての被保険者期間にかかる次の期間を合算した月数のことをいいます。
●保険料を全額支払った月数
●4分の3免除→4分の1
●4分の1免除→4分の3
●半額免除→2分の1



4分の3免除、半額免除、4分の1免除については、免除されていない分を納付していなければ、脱退一時金の支払いの対象月となりません。
国民年金の脱退一時金の金額:計算方法と支給額(2025年度)
では、国民年金の脱退一時金の計算方法をみていきましょう。
最後に保険料を納付した月が2025年4月から2026年3月の場合
納付月数 | 支給額(目安) |
---|---|
6〜12月未満 | 52,530円 |
12〜18月未満 | 105,060円 |
18〜24月未満 | 157,590円 |
24〜30月未満 | 210,120円 |
30〜36月未満 | 262,650円 |
36〜42月未満 | 315,180円 |
42〜48月未満 | 367,710円 |
48〜54月未満 | 420,240円 |
54〜60月未満 | 472,770円 |
60月以上 | 525,300円(上限) |
具体的な計算例
では、次の具体例をもとに計算していきます。







保険料の納付期間が33月となるので、上の表にあてはめると
国民年金の脱退一時金として支払われる額は
262,650円
となります。
厚生年金の脱退一時金制度
厚生年金保険の脱退一時金は、次の要件のすべてを満たした方が請求できます。
支給要件
- 日本国籍を有していない🇯🇵
- 公的年金制度(厚生年金保険または国民年金)の被保険者でない
- 厚生年金保険(共済組合等を含む)の加入期間の合計が6月以上ある
- 老齢年金の受給資格期間(10年間)を満たしていない
- 障害厚生年金(障害手当金を含む)などの年金を受ける権利を有したことがない
- 日本国内に住所を有していない🏡
- 最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない⏰️
(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から2年以上経過していない)
厚生年金の脱退一時金:計算方法と支給額(2025年度)
厚生年金の脱退一時金の受取金額は、厚生年金に加入していた期間の給与やボーナスをもとに1ヶ月あたりの金額(平均標準報酬月額)を算出し、厚生年金の加入月数に応じた支給率を掛けます。
✏️平均標準報酬額とは、被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を該当の被保険者期間の月数で割った額です。 再評価はありません。
支給額を計算しよう(令和3年4月以降に退職)
加入期間 | 支給率 |
---|---|
6月以上 12月未満 | 0.5 |
12月以上 18月未満 | 1.1 |
18月以上 24月未満 | 1.6 |
24月以上 30月未満 | 2.2 |
30月以上 36月未満 | 2.7 |
36月以上 42月未満 | 3.3 |
42月以上 48月未満 | 3.8 |
48月以上 54月未満 | 4.4 |
54月以上 60月未満 | 4.9 |
60月以上 | 5.5(上限) |






脱退一時金 よくあるQ&A
手続き方法や手続きに必要な書類など、脱退一時金にかかるQ&Aはこちら↓↓を参照ください☺️


脱退一時金 法改正(見直し)
今後、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、脱退一時金の制度も見直しが行われる予定です。
随時、どのような制度か年金事務所などに確認を行った方が良いかと思います。


(厚生労働省HPより)
<改正のポイント>
✅️ 支給上限が引き上げられる✨️
⇒ 上限5年から8年へ✨️
✅️ 再入国許可がある人が再入国許可の期限内に出国した場合、有効期間内は脱退一時金が支給されない💦
(再入国しないまま許可期限を経過した場合は、受取が可能)
おわりに 脱退一時金を「知らずに損しない」ために
ここまで、脱退一時金の制度、計算方法、そして近年の法改正(上限月数の引き上げ)などについて、お伝えしてきました。
日本で真面目に働き、きちんと年金保険料を納めてきた外国籍の方にとって、脱退一時金は「払った分の一部を取り戻せる大切な制度」です。
ですが、



・制度自体を知らなかった💦
・申請期限を過ぎてしまった💦
といった理由で、本来もらえるはずのお金を受け取れなかったケースも少なくありません😢
もし、友人や知り合いの外国人の方が日本を離れる予定があるなら、ぜひ「脱退一時金の手続き」について一度確認していただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました☺️
この記事が参考になれば嬉しいです。

