遺族年金制度 変わる?
令和7年5月16日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」を第217回通常国会に提出されました。
提出された法律案は下記厚生労働省HP↓↓を参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00017.html
この記事では、法案にある「遺族厚生年金の男女差 解消」 と 「こどもが遺族基礎年金を受け取りやすくする」の概要を見ていきたいと思います。
遺族厚生年金
遺族厚生年金の受給要件・受給対象者については、日本年金機構HP↓↓を参照ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html
現行の遺族厚生年金の男女差とは?

(厚生労働省HPより)
現在、子のいない配偶者が受け取れる遺族厚生年金は、遺族厚生年金を受け取る人の性別・年齢によって異なります。
夫が死亡し、妻が遺族厚生年金を受取る場合
妻:30歳未満で子がいない場合
⇒5年間の有期給付となります。
妻:30歳以上の場合は
⇒妻が死亡するまで遺族厚生年金を受け取ることができます。
妻が死亡し、夫が遺族厚生年金を受取る場合
夫:55歳未満の場合
⇒遺族厚生年金を受け取れません😭
夫:55歳以上の場合
⇒60歳から夫が死亡するまで遺族厚生年金を受け取ることができます。

遺族厚生年金は、夫よりも妻に対して手厚く保障されていることがわかります。
遺族厚生年金 見直し(案)
男女の性別・年齢を撤廃し、60歳未満で死亡した場合、原則5年間の受取となります。
ただし、所得や障害の状態により配慮が必要な場合は、5年目以降最長65歳までも受け取ることが可能とします。
また、この法案では新たに
・「有期給付の収入要件(年収850万円未満)の廃止」
・「有期給付加算」
・「死亡分割」
を創設し、遺族年金額の増額することも、もりこまれています。
現行のまま(改正なし)
次の1〜4に該当する場合は、現在の遺族厚生年金の受取方法と同じになります。
1)60歳以上で死別する場合
2)子どもがいる場合
3)改正前から遺族厚生年金を受け取っている場合
4)改正時に40歳以上の女性



その他にも、一定の要件を満たした遺族厚生年金を受取る妻にのみ加算される「中高齢寡婦加算」(年間約60万円)についても、段階的に見直しを行うこととされています。
中高齢寡婦加算については、日本年金機構HPを↓↓を参照ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150424.html#cms04
遺族基礎年金
遺族基礎年金の受給要件・支給対象者については日本年金機構HP↓↓を参照ください。
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html
遺族基礎年金の見直し(案)


(厚生労働省HPより)
現在の「子」が受取る遺族基礎年金は、子と生計を同じくしている「父」もしくは「母」がいる場合は、受給権はあるものの全額支給停止(受け取れない)となります。
このため、上記の4つの事例では全て子は遺族基礎年金が支給停止となり、受取ることができません。



これを改善し、子に遺族基礎年金を支払うことが今回の法改正の大きなポイントです。



この改正により、お父さん・お母さんが亡くなったとき、子どもが遺族基礎年金を受け取りやすくなるということですね。
まとめ
この改正案により、遺族厚生年金が男女格差が是正されます。
しかし、5年の有期給付とすることにより、現在の制度と大きくかけ離れる部分もでてきます。そのため、新しい制度を創設することで改正前後の不平等間を縮めようとしていることも見受けられます。
詳細については、法改正が行われた際、しっかりみていきたいと思います。
遺族基礎年金は、お父さん・お母さんが亡くなったときに子どもが遺族基礎年金を受け取りやすくなります。
今後の法改正に注視したいと思います。
法改正が決定したら、また細かな情報をお届けできたら良いなと思います。


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