経過的加算額とは
20歳から60歳までに厚生年金(共済年金)に加入すると、65歳以降に受け取る老齢厚生年金の報酬比例の計算に含まれてくるのと同時に、老齢基礎年金にも金額が反映します。
しかし、20歳前と60歳以降の厚生年金加入の場合は、老齢基礎年金には反映しません。
つまり、20歳前と60歳以降に老齢厚生年金に加入しても老齢基礎年金は増えないのです。
老齢厚生年金には「経過的加算額」(差額加算と表現される場合もあります)という制度があります。
経過的加算の例についてみていきましょう。
経過的加算額は、定額部分に該当する額から、厚生年金保険に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額を差し引いた額となります。
注意:金額は令和6年度、昭和31年4月2日以降生まれの人の金額となっています金額になっています。
上限の480月は生年月日によって異なります。
<事例1>
20歳から23歳まで国民年金納付(36月)
23歳から62歳まで厚生年金加入(468月)
→20歳から60歳までのうちの厚生年金加入月数=444月
定額部分(A)=1,701円✕468月=796,068円
厚生年金に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額(B)
=816,000円✕444月÷480月
=754,800円/年
差額加算
=796,068ー754,800
=41,268円/年
ちなみに、この方は、老齢基礎年金は満額の816,000円/年を受け取れます。
<事例2>
20歳から23歳まで国民年金学生特例(36月)
23歳から65歳まで厚生年金加入(504月)
→20歳から60歳までのうちの厚生年金加入月数=444月
定額部分(A)を=1,701円✕480月=816,480円
厚生年金に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額(B)
=816,000円✕444月÷480月
=754,800円/年
差額加算
=816,480ー754,800
=61,680円/年
老齢基礎年金は754,800円です。
定額部分は上限が480月となっていますので、480月以上厚生年金に加入しても増えていきません。
次の例はそれが顕著になっています。
<事例3>
18歳から65歳まで厚生年金のみの場合
定額部分(A)を=1,701円✕480月=816,480円
厚生年金に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額(B)
=816,000円✕480月÷480月
=816,000円/年
差額加算
=816,480ー816,000
=480円/年
この方が、65歳以降70歳までに厚生年金に加入しても、経過的加算は増えませんので、厚生年金は報酬比例にのみに計算の対象となります。
<事例4>
18歳から60歳まで 共済年金504月
60歳から65歳まで 厚生年金60月
共済年金の定額部分
共済定額部分(A)を=1,701円✕480月=816,480円
厚生年金に加入していた期間について受け取れる老齢基礎年金の額(B)
=816,000円✕480月÷480月
=816,000円/年
差額加算
=816,480ー816,000
=480円/年
厚生年金の差額加算
厚生年金の定額部分(A)を=1,701円✕60月=102,060円
共済年金と厚生年金の定額部分はそれぞれの年金制度で上限が480月となっており、共済年金と厚生年金の定額部分の通算はありません。
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