離婚した場合、年金を相手からもらうにはどのような手続きが必要かみていきましょう
👩三子 昭和33年9月25日生 女性
昭和56年2月〜現在まで婚姻中
年金記録:
昭和55年4月〜昭和56年2月 厚生年金
昭和61年4月〜平成7年3月 国民年金3号
平成7年4月〜平成7年9月 厚生年金
平成7年10月〜平成25年7月 国民年金3号
平成25年8月〜平成30年8月 国民年金 納付
👨三子の夫タツオ 昭和23年8月22日生まれ
年金加入記録:昭和50年4月~平成30年7月 厚生年金
離婚しようと思っているって?
そうそう。うちの旦那なんだか怒りっぽくなっちゃってるし。
まぁ、ちょっと思っただけなんだけどね。
離婚して、今後の年金がいくらもらえるかはシュミレーションしておいても悪くはないわね。
そのためには、「離婚分割のための情報提供通知書」をもらった方が良いわよね。これで、50歳以上の人は、離婚分割した場合の見込み額も計算してもらえる。
できれば、旦那の年金の半分くらいはもらえたら助かるな。私、年金額少ないし。
う〜ん 今、タツオさんがもらっている年金の総支給額の半分をもらえることはないわね。
まあ、そもそも年金額をもらうということではなくて、老齢厚生年金の計算の基礎となる標準報酬月額をもらうんだけどね。
タツオさんは今、老齢年金を受け取っているし、70歳過ぎているから厚生年金の加入は今後ないわよね。多分、今タツオさんの老齢年金は次のとおりになっていると思う。
タツオの老齢年金の内訳 老齢厚生年金(=報酬比例+差額加算) ➕ 老齢基礎年金
離婚分割できるのは、タツオさんの報酬比例部分なの。
だから、老齢基礎年金と老齢厚生年金の差額加算を年間の総支給額からまず差し引いていく。手取りじゃないよ!
そして、二人の婚姻期間中の厚生年金期間(昭和56年2月から平成30年7月まで)を分けていくことになる。
夫の年金は、税金控除前の総支給額は180万円くらいよ。
そこから、老齢基礎年金とか差額加算?とか引くと結構少なくなるんじゃない?
そうだね〜。老齢基礎年金と差額加算でザクっと80万円くらいは引くんじゃない?
そして、二人が婚姻している期間からが離婚分割の対象だけど、その前に事実婚関係であった期間があれば、同時に離婚分割請求できるよ。
ま、事実婚であることを証明できればの話だけどね。
じゃあ、仮に80万円が報酬比例部分だとして、最高いくらもらえるの?
結論から言えば、50%だね。
ってか、離婚分割はマックス50%までって決まっているからだけど。
離婚分割の方法は「合意分割」と「3号分割」と2通りあるの。
あなたの場合は次の通りよ。
Point3号分割は、平成20年4月以降の国民年金3号被保険者期間について、強制的に相手から50%標準報酬月額をもらう制度
三子は平成20年4月〜平成25年7月までは、3号分割として相手の合意なしに50%もらえます。
3号分割はタツオさんの同意は必要ないから、離婚したら、さっさと請求したほうが良いと思うよ。
離婚分割の手続きを行ったら、請求日の月の翌月分から年金額が改定されるからね。
そして、3号分割の対象となる期間以外は、あなたとタツオさんの二人で話し合いによって(合意によって)分割割合を決める必要があるの。
まぁ、二人の婚姻期間中のおたがいの厚生年金期間を考慮して計算するんだけどね。
なるほどね。
3号分割を先にやっていたほうが、年金を少し早めに多くもらえるけど、勝手にやったって怒ってそれ以外の期間に分割の同意をしてもらえなかったら、厳しいから悩むところだね。
その時は、弁護士さんにお願いしたりして、家庭裁判所を通じていろいろ合意分割の按分について話し合ったら良いじゃない。
あ! そうそう。離婚分割をしたら、振替加算が無くなる可能性もあるよ。
え?!
振替加算は、老齢厚生年金をもらっている人で、その額の計算の基礎となる厚生年金の被保険者期間の月数が240月以上となったら、もらえなくなるものなの。
この被保険者期間には、離婚時みなし被保険者期間(=元配偶者から厚生年金の標準報酬月額としてもらった期間も含まれるから、年金分割をすることで、離婚時みなし被保険者期間を含めた厚生年金の被保険者期間が240月以上になる場合、振替加算がもらえなくなるってこと。
ちょっと、専門用語が多すぎてあんまりよくわからないけど、もらう期間?によっては振替加算が減るってことね。もらう額だけではないってことね。
やっぱり事前の相談が必要ね。
ですね。
それよりも、もう少し耐えて、遺族年金をもらったほうが良いんじゃないの?
遺族年金のほうが報酬比例の4分の3もらえるし、タツオさんの年金加入機関と三子の生年月日を考えると、経過的寡婦加算もあるから。
う〜ん。現実的な年金額を考えると、遺族年金のほうがよさそうね。
ま、本当に離婚することになったらまた相談するわ。
離婚分割のポイント
- 離婚分割は2通り 合意分割と3号分割
- 離婚分割は婚姻期間中の互いの厚生年金(共済含む)の標準報酬月額を分け合うもの。老齢基礎年金の金額は含まない。国民年金の分割はない。
- 3号分割は平成20年4月以降の国民年金3号期間を相手の同意なしに50%もらえる。
- 双方の合意がうまくいかない場合は、裁判所などへの申し立てなどを行うことも可能。
- 離婚分割の改定請求は、原則離婚日から2年以内に手続きを行う必要がある。
- 離婚後の年金額を確認したい場合(50歳以上の人のみ)は、「年金分割のための情報提供請求」を行うことにより確認できる。
- すでに年金をもらっている場合、分割することにより年金額が変わるのは、分割の手続きを行った翌月分から年金額が変更。 離婚後1年経ってから離婚分割を行っても、年金は離婚日まで遡っての変更はない。
- 振替加算がもらえなくなる場合がある
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