機構年金+共済年金がある人は確定申告が必要?追徴税額の計算方法まで徹底解説

「機構(日本年金機構)と共済の両方から年金をもらっているけど、確定申告は必要なの?」という疑問をお持ちの方へ。この記事では仕組みから計算方法まで、具体的にわかりやすく解説します。


目次

なぜ機構と共済の両方からもらう人が多いのか

日本の公的年金は「2階建て」の構造になっています。

【2階】老齢厚生年金 or 退職共済年金(加入歴による)
【1階】老齢基礎年金(すべての人が対象)

1階部分(老齢基礎年金)は必ず日本年金機構から支払われます。

一方、公務員として働いていた方の2階部分は「退職共済年金」として各共済組合から支払われます

そのため、元公務員の多くの方は:

  • 機構から:老齢基礎年金(1階)
  • 共済から:退職共済年金(2階)

という形で両方から受け取ることになります。


問題は「基礎控除が二重になる」こと

毎月の年金支払い時には、それぞれの支払者が「源泉徴収」(仮の税額計算)を行います。

このとき、機構も共済もそれぞれの計算の中に基礎控除相当額を組み込んでいます。

機構(老齢基礎年金)
  → 源泉徴収の計算に基礎控除相当額を組み込み ← 1回目

共済(退職共済年金)
  → 源泉徴収の計算に基礎控除相当額を組み込み ← 2回目(調整あり)

共済年金には「47,500円×月数を減額する調整措置」がありますが、これは二重控除を完全に解消するものではありません。

その結果、合計すると基礎控除が実質的に二重に引かれた状態になってしまいます。

※出典:全国市町村職員共済組合連合会「税金について Q&A」 https://ssl.shichousonren.or.jp/pensioner/qa07.html


令和8年分の源泉徴収の計算方法

機構年金の基礎的控除額(65歳以上・年金242万円以下)

時期基礎的控除額(月額)最低保障額
2月〜11月月割額×25%+105,000円175,000円
12月(精算)月割額×25%+110,000円180,000円

共済年金の基礎的控除額(65歳以上・機構から老齢基礎年金を受ける場合)

基礎的控除額(月額)
= 月割額×25%+65,000円(最低135,000円)
        − 47,500円(機構との調整)

※出典:KKR(国家公務員共済組合連合会)「年金にかかる税金」 https://www.kkr.or.jp/nenkin/zenpan/seido/zeikin.html


具体的な計算例

条件:65歳以上・機構年金150万円・共済年金120万円・その他の控除なし(社会保険料等は簡略化)


① 機構年金150万円の源泉徴収

月割額 = 150万円 ÷ 12か月 = 125,000円

基礎的控除額(月額)
= 125,000円 × 25% + 105,000円 = 136,250円
→ 最低保障額175,000円を適用

年間控除額 = 175,000円 × 12か月 = 210万円
課税対象額 = 150万円 − 210万円 = △60万円(マイナス)

→ 源泉徴収税額 = 0円

機構年金150万円は源泉徴収されません(年金収入214万円未満のため)


② 共済年金120万円の源泉徴収

月割額 = 120万円 ÷ 12か月 = 100,000円

基礎的控除額(調整前)
= 100,000円 × 25% + 65,000円 = 90,000円
→ 最低保障額135,000円を適用

調整後控除額(月額)
= 135,000円 − 47,500円 = 87,500円

年間控除額 = 87,500円 × 12か月 = 1,050,000円
課税対象額 = 1,200,000円 − 1,050,000円 = 150,000円

源泉徴収税額 = 150,000円 × 5.105% ≒ 7,657円

共済年金から年間約7,657円が源泉徴収されます


③ 確定申告での正しい税額計算

確定申告では機構・共済の年金を合計して正しい税額を計算します。

STEP1:合計年金収入から雑所得を計算

合計年金収入 = 150万円 + 120万円 = 270万円

公的年金等控除(65歳以上・270万円)
= 270万円 − 110万円 = 160万円(雑所得)

STEP2:基礎控除を差し引く

合計所得金額 160万円(132万円超〜336万円以下)
→ 令和8年分の基礎控除 = 62万円

課税所得 = 160万円 − 62万円 = 98万円

STEP3:税額計算

所得税 = 98万円 × 5% = 49,000円
復興特別所得税 = 49,000円 × 2.1% ≒ 1,029円
合計正しい税額 = 約50,029円

④ 追徴額の計算

正しい税額       50,029円
− 源泉徴収済み額   7,657円(共済のみ・機構は0円)
────────────────────────
追徴額        約42,372円
項目金額
機構年金収入150万円
共済年金収入120万円
合計年金収入270万円
公的年金等控除△110万円
雑所得160万円
基礎控除(令和8年分)△62万円
課税所得98万円
正しい所得税(復興税込)約50,029円
源泉徴収済み額約7,657円
確定申告で追徴約42,372円

追徴額を減らせる場合があります

上の計算では社会保険料や各種控除を省略しています。実際には以下の控除が適用されると追徴額が減ります

控除の種類内容
社会保険料控除介護保険料・後期高齢者医療保険料など
医療費控除年間医療費が一定額を超えた場合
生命保険料控除生命保険・介護医療保険など
配偶者控除配偶者の所得が一定以下の場合
扶養控除扶養家族がいる場合

特に介護保険料や後期高齢者医療保険料は年金から天引きされているケースが多く、これらは社会保険料控除として差し引けます。確定申告の際は「源泉徴収票」に記載されていますので確認してみてください。


確定申告が必要なケース・不要なケースの整理

ケース確定申告
機構+共済の合計が400万円以下・他の所得が20万円以下原則不要
機構+共済の合計が400万円超必要
機構+共済+給与収入がある必要
医療費控除など追加控除があるしたほうが得(還付の可能性)
原則不要でも任意で申告する場合追徴になる場合あり

※出典:全国市町村職員共済組合連合会「税金について Q&A」 https://ssl.shichousonren.or.jp/pensioner/qa07.html


確定申告が不要でも住民税の申告が必要な場合があります

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が別途必要になる場合があります。お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。


まとめ

  • 元公務員の多くは**機構(老齢基礎年金)+共済(退職共済年金)**の両方を受け取る
  • 両方から受け取る場合、基礎控除相当額が実質的に二重になる
  • 合計400万円以下・他の所得20万円以下なら確定申告は原則不要
  • ただし任意で申告した場合は追徴になるケースが多い
  • 社会保険料控除・医療費控除などがあれば追徴額を減らせる
  • 詳細な計算は税務署や税理士へ相談することをお勧めします

この記事の内容は令和8年6月時点の情報をもとにしています。税制は毎年変わりますので、詳細は税務署または日本年金機構にご確認ください。

参考:

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